東京高等裁判所 昭和55年(う)42号 判決
被告人 金田勝次郎
〔抄 録〕
同第二部第一点及び第二点は、原判決判示第二の事実につき、本件金銭債務を負担し、貨物自動車を対象とする譲渡担保契約を締結して、その旨の公正証書を作成させ、これを備え付けさせた一連の行為は、なんら萩原圭三その他の第三者を害するものではないのに、これを強制執行免脱の目的によるものと認定し、また、登記、登録等の対抗要件を具備しなくても、契約の締結だけで強制執行の妨害が成立するとした原判決には、理由不備並びに判決に影響を及ぼすことの明らかな事実誤認及び法令違反があると主張する。
しかしながら、強制執行妨害の罪が成立するためには、これを免れる目的に基づくものであるかぎり、その行為によって現実に強制執行を免れる効果が発生したことを要するものでなく、また、行為としての仮装譲渡は、財産の譲渡が行われていないのに、その譲渡が行われたかのごとくに財産の名義を変更することとされるが、貨物自動車等の車両を対象とする本件のような場合には、第三者に対する対抗要件である道路運送車両法等に基づく登録名義の変更まで行われなくても、公正証書の作成とその備付け等によってその所有権者が変わったことをうかがい知るべき外観を呈する状態が事実上作出されれば足りるものと解される<。>
(西川 杉浦 阿蘇)